ホーム読みもの問題を作って分かったこと

学習アプリの問題を自分で作って分かった、いい問題と悪い問題の差

2026年8月13日 / フジケン

学習ツールを作るとき、いちばん時間がかかるのはプログラムではありませんでした。問題そのものです。宅建GYMの4択問題と○×問題、方言ラボのクイズ、雀トレのドリル。どれも、画面が動くようになってからのほうが長い時間を使っています。

作る前は「解説を短くまとめて、選択肢を4つ並べればいい」くらいに思っていました。実際にやってみると、1問の裏側に判断が何段も積まれていました。この記事は、その過程で分かったことの記録です。

正解を用意するのは簡単で、間違いを用意するのが難しい

4択問題を作るとき、正解の文を書くのは一瞬で終わります。手が止まるのは残りの3つです。

最初に作った問題を自分で解いてみたら、よく知らない分野でもけっこう当たりました。理由は単純で、誤答の3つが明らかに不自然だったからです。文が極端に短い、取ってつけたような言い回し、そもそもその条文の話ではない。こうなると知識ではなく消去法で解けてしまい、本人は「分かっている」と勘違いしたまま次に進みます。学習ツールとしては最悪の結果です。

そこで、誤答は「実際によくやる勘違い」から作ることにしました。宅建でいえば、期間の数字をひとつだけずらす、義務を負う側の主語を入れ替える、原則と例外を逆に書く、「できる」と「しなければならない」を取り替える。どれも、自分が問題集を解いていて引っかかったパターンです。

ただし、やりすぎると今度は、どうでもいい細部で人を落とす「引っかけクイズ」になります。境目に置いた基準はひとつで、その間違いは本試験でも実際にやる間違いか。そうでないなら、いくら難しくても入れません。難易度を上げること自体は目的ではないので。

○×問題は、文の書き方が答えを漏らす

これは自分で100問単位で並べてみて、初めて気づいたことです。

○×形式では、「必ず」「すべて」「一切」「例外なく」といった言い切りが入った文は、たいてい×になります。 逆に「〜の場合がある」「原則として〜」という含みのある書き方は○になりやすい。理由ははっきりしていて、出題する側が「×の文を作ろう」と思ったときに、正しい文を極端にして誤りにするのがいちばん簡単だからです。作り手の手グセが、そのまま解答の手がかりとして漏れています。

これに気づいた人は、中身を知らなくても正答率を上げられます。でも、それで身につくのは条文の理解ではなく出題者のクセの読み方です。試験当日には役に立ちません。

対策は2つ。○になる文にもあえて言い切りを混ぜること(本当に例外がない規定はあるので、そこを使えば嘘になりません)。そして、○×の比率と断定的な副詞がどちらに偏っているかを、問題を追加するたびに数えること。感覚でやると必ず偏ります。

解説が本体だった

最初に作った解説は「誤り。◯◯だから」の1行でした。しばらく経ってから自分で解き直したとき、間違えたのになぜ間違えたのか分からないという状態になり、これはまずいと思って全部書き直しました。

いまは、最低でも3つを書くようにしています。

特に2つ目です。「この選択肢は誤りです」だけだと、どこが違ったのか分からないまま「そうなのか」と流されます。文のどこが誤りかを特定して書くと、そこだけで一個の知識になる。解説が長くなるのは構わないと割り切りました。解く時間より読む時間のほうが長い、くらいでちょうどいいと思っています。

問題は、置いておくと腐る

資格試験の問題で怖いのはここです。法律は変わるので、去年まで正解だった選択肢が、施行日をまたいだ瞬間に誤りになります。相続登記の扱い、書面の電子交付、刑の名称の変更など、実際に問題文と解説の両方を直す必要が出た論点がいくつもありました。

やってしまいがちなのは、古い問題を混ぜたまま「最新の法令に対応」と名乗ることです。使う側からすれば、これは間違ったことを覚えさせられるということなので、内容が薄いより悪いと思っています。

そのため、問題データは1件ずつ独立した文章としてではなく、どの分野・どの論点に属するかを持たせた形で管理しています。改正が入ったときに、その論点に紐づく問題を一括で引き出して見直すためです。それでも1問ずつ人の目で確認する作業は残っていて、ここは自動化できていません。

正解がひとつに決まらない分野もある

方言と麻雀では、また違う難しさに当たりました。

方言のクイズを作っていると、「この言い方はこの県の方言」と言い切れないケースが山ほど出てきます。隣県でも使う、同じ県でも地域で違う、若い世代はもう使わない。ここを無視して断定すると、その土地の人から見て明らかに間違った問題になります。結果として、クイズにするのは地域がはっきり特定できるものだけにして、幅のある表現は辞典のほうに「主にこの地域で使われる」という書き方で置くことにしました。出題に向かないものを無理に出題しない、という線引きです。

麻雀はもっと極端で、何を切るのが正しいかはルール設定と局面で変わります。そこで、雀トレでは「正解はこれです」と言い切る代わりに、受け入れ枚数・打点の期待・放銃のリスクという判断の材料を出す形にしました。答えを覚えてもらうのではなく、比べ方を覚えてもらうほうが実戦で効くからです。

自分の作った問題で、自分が間違える

作ってしばらく経ってから解くと、自分でも普通に間違えます。原因を追うと、知識不足ではなく問題の不備だったことが何度かありました。主語が曖昧で2通りに読める、選択肢のうち2つとも成立してしまう、条件が足りない。作った直後は頭の中の前提が補ってくれるので気づけません。

いまは、間違えた問題を後から一覧で見返せる機能を、ユーザー向けであると同時に自分の品質チェックとして使っています。地味ですが、これがいちばん見つかります。それでも、ひとりで作っている以上は見落としが必ず残るので、「この問題おかしくないですか」というご連絡がいちばんありがたいです(お問い合わせ)。

問題を作るのは、教えることに近い

一周してみて思うのは、問題を作る作業は、要するに「その人がどこで間違えるかを先回りして考える」ことだということです。誤答を作るのも、解説をどこまで書くかを決めるのも、出題する範囲を絞るのも、全部そこに行き着きます。知っているだけでは作れなくて、どうつまずくかを知らないと作れない。自分が独学でつまずいた記録が、そのまま材料になっていました。

続ける仕組みそのものについてはこちらの記事に、画面まわりの失敗はUIの失敗5つに書いています。運営全体の考え方は毎日ラボとはにまとめました。

2026年8月13日公開

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