ログイン不要・端末内保存にした理由と、その代償
毎日ラボで公開しているツールには、アカウント登録もログインもありません。URLを開けばその場で使えて、学習の記録や設定はお使いの端末の中に保存されます。こちらのサーバーにユーザーごとのデータは持っていません。
これは楽をしたかったから、ではあるのですが、それだけでもありません。この記事では、なぜこの設計にしたのか、そしてこの設計で確実に失っているものについて書きます。使う前に知っておいたほうがいい話なので、いいところだけ書くのはフェアじゃないと思っています。
登録画面は、思っているより高い壁
自分がユーザーとして、何回アプリの登録画面で引き返したかを考えると答えは明らかでした。「ちょっと試してみたい」だけの段階で、メールアドレスを渡して、パスワードを考えて、確認メールを開いて、というのは重すぎます。しかも試した結果が「思ってたのと違った」だった場合、渡したアドレスだけが相手に残る。
特に毎日ラボのツールは、ほとんどが「気になったからちょっと触ってみる」から始まるものです。方言診断を2分やってみる、麻雀のルールを1課だけ読んでみる、飲み会でポーカーを1回やってみる。この入口に登録を置いたら、たぶん9割の人は入ってこない。
もうひとつ、別記事で書いた「再開コスト」の問題もあります。ログインが必要なアプリは、セッションが切れたときに再開コストが跳ね上がります。パスワードを思い出せなくて、リセットメールを開いて、というところまで行くと、その日の勉強はもう終わりです。
データを持たない、という選択
技術的な理由よりも、責任の重さの話が大きかったです。
個人ひとりで運営しているサイトが、ユーザーのメールアドレスとパスワードと学習履歴を預かるというのは、それなりに重い約束です。漏らさないように守り続けなければいけないし、退会したいと言われたら確実に消さなければいけないし、自分が飽きてサイトを畳むときにも適切に処理しなければいけない。
この約束を、本業のかたわらひとりでやっている状態で、何年も守り続けられるか。正直に考えて、預からないほうが安全だと判断しました。持っていないデータは漏れません。 食事の記録や学習の進捗はそれなりに個人的な情報ですが、それが端末の中にしかないなら、こちらが何をしくじってもユーザーのデータは無事です。
結果として、プライバシーポリシーに書ける内容もシンプルになりました(プライバシーポリシー)。アクセス解析のCookieと、お問い合わせでいただく連絡先。それ以外にこちらが持っているものはありません。
で、代償の話
ここからが正直に書くべきところです。この設計には、はっきりしたデメリットが3つあります。
1. 機種変更でデータが消える
これが最大の欠点です。新しいスマホに変えても、学習の記録は引き継がれません。宅建GYMで半年ぶんの学習履歴を積んでいた人が、機種変更でゼロに戻る。これは実際に起こります。
同じことは、ブラウザの閲覧データを消したとき、プライベートモードで開いていたとき、別のブラウザで開いたときにも起こります。SafariとChromeでは別々のデータになるので、いつも同じブラウザで開く必要があります。
2. 端末をまたいで続きができない
通勤中にスマホでやって、家のパソコンで続きから、ということができません。パソコンで開けば、そこはまっさらな状態です。
3. サポートがしづらい
「記録が消えました」というお問い合わせをいただいても、こちらにはデータがないので復旧のしようがありません。これは申し訳ないと思っています。
それでもこちらを選んだ理由
天秤にかけたのは、「使い始めてもらえない人の数」と「データを失う人の数」でした。
登録を必須にすれば、後者は減ります。でも前者が桁で増える。そもそも触ってもらえなければ、学習履歴も何もありません。しかも、失われるのは「積み上げた記録」であって、勉強した内容そのものではない。半年分の履歴が消えても、覚えた知識は消えないというのは、多少の慰めにはなると思っています。
加えて、ポケチップのように、そもそもデータを持ち越す必要がないツールもあります。その日集まった友達とゲームをして終わり。ここにアカウント登録を要求する理由はどこにもありません。
どうすればデータを守れるか
使う側でできる対策もあるので、書いておきます。
- いつも同じブラウザで開く。 ホーム画面に追加しておくと、毎回同じ場所で開けるので確実です
- ブラウザの「サイトデータを削除」に注意する。 キャッシュ削除とまとめて実行すると消えます
- 機種変更の前後は、記録が引き継がれないことを前提にする。 大事な数字はスクリーンショットを撮っておく、くらいが現実的です
この判断は変わるかもしれない
最後に。これは「今の規模での最適解」であって、永久に正しいとは思っていません。宅建GYMのように何か月も積み上げるタイプのツールでは、データが消える問題は年々重くなります。将来的には、任意のバックアップ機能――記録をファイルとして書き出して、新しい端末で読み込める仕組み――くらいは入れたいと思っています。アカウントを作らずにデータだけ持ち運べる形です。
「ここが不便だ」という声はかなり参考にしています。お問い合わせから送っていただければ読みます。運営の全体的な考え方は毎日ラボとは、収録している問題をどう作っているかは問題を自分で作って分かったことにまとめました。
2026年8月13日公開
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