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相続した実家が空き家になったとき、解体と売却のどちらが先か。決める前に確かめる3つの日付

2026年10月22日 / フジケン

塀に囲まれた敷地に建つ、緑の屋根の小さな古い日本家屋のイラスト
イメージ画像(AI生成のイラスト・ローカルSDXL)

この記事は、公的な資料と解説記事を読んで整理したものです。僕が実家を解体した経験談ではありません。数字と条件は、確認した日を本文に書いています。

先に答えを書きます。「解体が先か、売却が先か」に、全員に共通する正解はありません。ただ、順番を決めるのは気持ちではなく、3つの日付です。1つ目は特例の期限、2つ目は毎年1月1日、3つ目は解体後1か月の登記の期限です(いずれも2026年10月21日時点の公表資料に基づきます)。この3つを先にカレンダーに書き込めば、解体の見積もりを取る前に、順番の候補がかなり絞れます。

背景にある数字も置いておきます。総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、全国の空き家は約900万戸で過去最多、住宅全体の13.8%でした(時事通信の報道と国土交通省の資料で2026年10月21日に確認)。親御さんの家を引き継いだあとに「この家をどうするか」と悩むのは、珍しいことではなくなっています。

表1:確かめる3つの日付(2026年10月21日時点・各出典の記載による)
日付何が決まるか出典
① 相続開始から3年を過ぎる年の12月31日(かつ2027年12月31日)売却益から最大3,000万円を差し引ける特例を使えるか国税庁 タックスアンサーNo.3306
② 毎年1月1日住宅が建っている土地として固定資産税の軽減を受けられるか横浜市の住宅用地特例の説明(賦課期日)
③ 解体した日から1か月建物の滅失登記の申請期限不動産登記法第57条(法務局の資料で引用)

この表がこの記事の中心です。以下、1つずつ出典と一緒に見ていきます。

1. 日付① 売却の特例には期限がある

相続した空き家を売るときに使える特例が、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」です。国税庁のタックスアンサーNo.3306(令和8年4月1日現在法令等と記載)によると、主な条件は次のとおりです(2026年10月21日に原文を確認)。

「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日」は、たとえば2025年3月に亡くなった場合、2028年12月31日です。ところが特例そのものの期限が2027年12月31日なので、実際に使える期限は早いほうになります。この2つの日付は別々に書いておくことをおすすめします。

壁掛けカレンダーの1日に赤い丸がつけられた机の上の、書類の束と湯のみのイラスト
イメージ画像(AI生成のイラスト・ローカルSDXL。カレンダーの数字は後から描き直しています)

解体との関係は「その後の使い方」で決まる

建物を壊して土地として売る場合、国税庁は次の3点を求めています(同ページの記載・2026年10月21日時点)。相続のときから壊すときまで、事業・貸付け・居住に使っていないこと。相続のときから売るときまで、同じく使っていないこと。壊したときから売るときまで、建物や構築物の敷地にしていないこと、です。つまり、壊したあとに駐車場や資材置き場にしてから売ると、条件を外れるおそれがあります。

FPや元国税専門官の解説記事では、親の生前に更地にしてしまうと、この特例の前提である「相続開始の直前まで親が住んでいた家」に当たらなくなるおそれがある、と繰り返し注意されています。何本かの解説は、相続前の解体で数百万円の税負担が生じた例を紹介していました。個別の事情は税務署や税理士に確認してください。

表2:特例を使う前提で、解体と売却の順番ごとに見るところ(国税庁No.3306の記載に基づく整理)
順番特例で見るところ自分で確認すること
建物を残して売る昭和56年5月31日以前の建築であること。建物を残す場合は、耐震基準を満たすことも求められる(自治体資料)登記簿の築年月日/耐震の証明が取れるか
解体してから売る解体後の土地が、相続から売るときまで事業・貸付・居住に使われず、解体から売るときまで建物や構築物の敷地にもなっていないこと解体後に駐車場や資材置き場にしていないか
売ってから解体する買主が解体する形でも使えるかは、条件の細部まで国税庁と自治体の資料で確認が要る(僕は条件の細部を断定できない)市区町村の窓口で「確認書」の交付条件を聞く

2. 日付② 1月1日で固定資産税が決まる

解体の時期を考えるとき、もう1つの日付が毎年の1月1日です。住宅が建っている土地には、固定資産税と都市計画税の軽減(住宅用地の特例)があります。横浜市の説明では、次のとおりです。

表4:住宅用地の課税標準の特例(横浜市の説明・2026年10月21日確認)
区分固定資産税都市計画税
小規模住宅用地(200㎡以下の部分)価格の6分の1価格の3分の1
一般住宅用地(200㎡を超える部分)価格の3分の1価格の3分の2

この特例は「1月1日(賦課期日)現在の状況」で判断される、と同じページに書かれています。ここからは僕の読みですが、1月1日に建物が建っていればその年度は特例の対象のまま、年内に壊して翌年の1月1日に更地なら、翌年度から軽減の対象外、という流れになるはずです。壊す時期が12月か1月かで、翌年度の負担が変わりうるわけです。実際の扱いは自治体で細かく違うので、解体の見積もりを取る前に、市区町村の固定資産税の窓口で確認してください。

逆に、放置にも税の影響があります。2023年6月14日に公布された改正空家法(同年12月13日施行)で、放置すると特定空家になるおそれのある「管理不全空家」への指導・勧告が始まり、勧告を受けるとその敷地は住宅用地の特例から外れる、と国土交通省や自治体の資料にあります。「壊すと税金が上がる」「放置しても上がることがある」の両方があるので、売る時期を決めてから逆算するのが、結局いちばん安全です。

解体費用の坪単価については、僕が出典を確認できた一次データがまだありません。ここでは数字を書かず、複数の業者に書面で見積もりを取って比べる、とだけ書いておきます。

3. 日付③ 解体したら1か月以内に登記する

登記まわりで押さえることを、先に3つ並べます。

建物を取り壊したら、法務局に「建物滅失登記」を申請します。不動産登記法第57条は、表題部所有者または所有権の登記名義人に、滅失の日から1か月以内の申請を求めています(法務局の資料での引用を確認)。出典の確認は2026年10月21日時点です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になりうる、と解説されています(過料の根拠条文は第164条。法務省ページでの直接確認は済んでいないので、この点は参考情報です)。

共有の建物では、共有者の1人が単独で申請できるとされています(弁護士事務所の解説を参照)。登記が残ったままだと、固定資産税の通知が来続けるおそれがある、との指摘もあります。解体業者に「滅失登記の書類(取壊し証明書)をいつもらえるか」を最初に確認しておくと、1か月の期限に間に合いやすくなります(期限は上の出典のとおりです)。

なお、相続登記は、2024年4月1日から義務化され、取得を知った日から3年以内の申請が必要です。順番としては、相続登記を済ませたうえで、解体や売却を進めるのが基本になります。

仮の試算で見る、順番による差

特例が使えるかどうかで、手元に残るお金はどのくらい変わるのでしょうか。他の解説記事でも似た試算が出ていますが、ここでは条件を僕が置き直して、3,000万円控除の効き方だけを見ます。次の表は実在の物件ではなく、説明用の仮の数字です。試算の時点は2026年10月21日です。税率は、長期譲渡所得の所得税15.315%と住民税5%を足した20.315%を使っています(税率は解説記事の記載で、国税庁の原文での確認は済んでいません)。

表3:仮の試算(実在の物件ではありません。数字は説明用に僕が置いたものです)
項目特例を使えない場合特例を使えた場合
売却額1,800万円1,800万円
取得費(不明なので売却額の5%と仮定。仮の数字・2026年10月時点)90万円90万円
譲渡費用(解体費として150万円と仮定。仮の数字・2026年10月時点)150万円150万円
特例の控除なし3,000万円(利益が控除額に収まるため課税は0円)
税額(税率20.315%と仮定。仮の数字・2026年10月時点)1,560万円 × 20.315% ≒ 317万円0円

表の読み方をまとめます(上の仮の数字・2026年10月時点の試算です)。

この差は、売る日が「相続から3年の年末」に間に合うかどうか、解体の順番が条件に合うかどうかで決まります。解体費用は、特例を使える場合も差し引けるので、解体を先にするほうが得とは限りませんし、その逆でもありません。

まとめ

順番を決める前に、3つの日付を確かめます。

次の1アクションは、登記事項証明書で家屋の建築年月日を見て、昭和56年5月31日以前かどうかを確かめることです。その場で、相続開始日から数えた「3年を過ぎる年の12月31日」もカレンダーに書いておけば、売却の期限が見えてきます。

なお、この記事は一般的な情報の整理で、個別の事情への税務・法律の助言ではありません。実際の判断は、税務署、市区町村の窓口、司法書士、税理士など専門家に確認してください。

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2026年10月21日公開

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